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るが、画像の判断を行った場合に保険点数などの経済的裏付けがない点である。これらについては、今後日常的に動かすときの経済的分担をどうするかなどとも関係してくる。既に実際の写真をみながら放射線の読影をする場合には点数がとれるようになされており、この分野でもこれに準じて行われる事が望ましい。しかし、通信で送られたものに関しては未だ全く放射線領域でも行われておらず、未だ解決には時間がかかることが予想される。この研究の題名に診断ではなく診療支援とした理由の1つはこれによる。
第3には、動画に対する対応である。すでに述べたように動画を保存するには静止画像とは比べものにならないほど大きいファイルとなり、仮に1分間のビデオ画像を、1枚の画像を500kして秒30枚画像を取り込むととすると、20倍圧縮しても45Mとなり、送信できるレベルではないことがわかると思う。画像の取り込みの大きさを1/9程度に小さくしても、5Mであり転送は実用的でない。そのためには、電話回線を2回線分同時に使用できるISDN(現在の2倍の速さで送信できる)よりもっと高速の通信手段が必要となるであろう。なお、ISDNは、従来の電話回線の2倍のデータが送れるために、画像通信には適している媒体であると考えられる。既に家庭用に一部普及し始めており、今後期待ができるものである。しかしそのためには、専用の回線、モデムの代わりとなるTA(Terminal Adaapter)、DSU(Digital Service Unit)が必要である。
今後、より理想的な形として考えられる形態の一つにテレビ電話のごとく、実際の会話を行いながら、疑問のある症例に対してアドバイスを受ける方法が考えられる。実際の検査を行いながらであり、検者のみでなくアドバイスをする側についても理想的状況である。しかしながら、その装置方法が今回の方法より、複雑になるばかりでなく、その検査症例の時間にあわせせて、検者、アドバイスする側、そして患者の3者が同時に立ち会わねばならない問題点を有する。このような時間的制約がおこることが最も問題となるが、方法としては最も理想的であることを考慮しながら、今後検討して行くことが必要である。
ホームページの作製について
本来は、超音波検査自体は、心電図、上部消化管検査のようにへき地の各診療所で個々にある程度自信をもって行えることが理想ではあるが、実際に経験する症例は種類・数ともに多いわけではなく、研鑚の場があることが望ましい。これらの医師をバックアップする機会を増やす意味で、最近開設された自治医科大学のホームページ(http://www.jichi.ac.jp/)の中に、超音波画像のコーナーを設置し個々の自由な時間に回線にアクセスすることができれば、卒後の知識の整理、トレーニングに有用と考えられる。この研究では、その一部として大学のホームページのなかにトレーニングの場を設置すると同時に、将来的にはわからない画像についてめ質問の場を設けたい。なお、この典型症例の作製については現在進行中であり、近く腹部臓器を中心とした症例を掲載する予定である(図13)。

 

 

 

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